カムアウト

■医療観察法の闇


 京都での塾講師による小六女児殺害事件後、講師の「通院歴」調べを徹底する学習塾も出てきた。前出の長野氏は「安全管理の風潮の中で、安心して病人になれない現実がある。病気以上に、差別の苦しさは耐え難い」と指摘する。


前日に「メンヘラを必要以上に守るな!」と書いたのと矛盾するのかもしれませんが
これはこれで「ふざけんな!」って気がしますね。
精神病者と健常者の違いって、単に精神科に行ったか行かないかで分けられるのか?
そもそも、精神科通院歴 = ヤバい奴、という考え自体が、このご時世に激しく合わない
遅れた意識だよなぁ。
問題なのは、誰の目から見ても「アイツはヤバい」というような奴が、精神科に対する偏見
or妙なプライドから精神科に行くことを拒み、病状を悪化させてしまうことじゃないだろうか。
もし、この塾のような対応を取る会社が今後増えたとしたなら、益々精神科へ足を運ぶ
人間が減り、その結果今以上に潜在的精神病者が増え、より病んだ社会になってしまうのは
火を見るより明らかだ。
鶴見済さんも似たようなことをおっしゃってましたが、精神科通院歴のある人を画一的に
全て精神病者扱いするのは、お酒を飲む人は全てアル中だ、と言ってるのと同じくらい
ナンセンスだってことに、この塾や世間は早く気付くべきだと思う。


まぁでも、塾も接客業でありサービス業だから、保護者側から「講師を採用する際に
精神科通院歴を調べて!」と言われたなら、実施しなくちゃいけないんだろうなぁ、という
台所事情もお察ししますけどね。だけど、それを言ったら「塾の講師」だけじゃなく
「学校の先生」は調べなくていいのか?ってハナシになりますわな。で、最終的には
「教師や講師といった仕事は、もはや聖域では無い」という結論になって、結局は堂々巡りに
なりそうな気がする。


所謂常人には理解できない事件を起こすのは精神科通院歴のある人、という印象は確かに
受けるけど、殺人事件全体で見ると、精神科通院歴のある人間が起こした殺人事件は
数%だというデータを何かのニュースで見たことがある。つまり、それだけ世の中には
精神科に行ってないだけの「潜在的精神病者」が溢れかえってる、ということだろう。
何時でも自分が被害者になり得るし、加害者にもなり得るのだ。



ヤケに精神科通院歴者を擁護しているのは、私自身が精神科通院歴のある人間だからだ。
軽く通院歴をカムアウトすると、約10年くらい前に職場のストレスから、毎晩ワインを
1瓶空けるような生活が続き、自分でも「これはヤバい」と思い、精神科の門を開ける*1
抗うつ剤も処方されたけど、あまり効果が感じられなかったので、徐々に抗不安剤のみの
服用となる。通院初期にはカウンセリングに長い時間をかけたりしたが、精神科医だって
ただの人間」
と悟ってからは、薬のみを処方してもらう日々が続き、約6年前に埼玉県に
引っ越してから暫くは薬を必要とすることが少なくなっていたのだったが、これまた
職場のストレスから、約2年前に町の内科医院で抗不安剤デパスソラナックス)を
処方してもらって以来、その職場を辞めるまでは朝にソラ、昼にデパを飲むという生活が
続いた。その会社を辞めた現在、半年以上全く薬を飲んでいないのだが、それと引き換えに
引きこもりになってしまっているのだから、どっちがマシだなんて一概に言えないよなぁ…。
抗不安剤の副作用は、私の経験だけで言わせていただくと、服用していた量が
少なかったからなのか、そんなには感じませんでした。←これは私が酒飲みだから、という
点も大きいと思う。酒で誤魔化せない人にとっては、もしかしたら副作用を感じるかも
しれません)

*1:当時の精神科医には「眠れないからって酒を飲むくらいなら、薬を飲んで下さい」と言われた