ドラマ「火垂るの墓」


アニメ版を最初に見た時は、確かに「節子かわいそーっ(T_T)」と涙しましたけど
何度か見ているうちに、この話は単に、清太っていう自意識過剰なガキが「1人で
生きていける」とカン違いをしてしまったが故に、そんなバカな兄を頼るしかなかった妹が
悲劇的な最期を迎える、という「中学男ってのはいつの時代もバカ」なことを
鼻で笑う為のアニメなんじゃないかと思うようになりました。


そんな清太に辛くあたる、松嶋菜々子演じる久子おばさんが主人公というこのドラマ。
少しは清太のバカさ加減が薄まってるのかな、と思いましたが、輪をかけてバカでしたねー。
腹が立って仕方無いよ「清太」ってキャラは。自分(久子)の子供は家のことを手伝ってるのに
厚意で引き取った遠い親類の子供が「妹を守るため」なんてご立派な理由で家の中で
ゴロゴロしてたら、そりゃあ久子はムカつくよな。つーか、はっきり「あんたみたいなヤツは
出てけ!」と言わなかった分、久子には人情が残っていたと思う。これがもし清太がすごく
いいヤツで、お世話になってる家の手伝いを一生懸命していた上で、久子に辛くあたられたなら
そりゃあ久子は鬼だ、ってハナシになりますけど、口ばっか達者なあーんな生意気なクソガキを
養ってやる義務なんて久子には無いよ。もし自分が久子の立場だったら、一字一句久子と同じ
セリフを口にしたと思う。旦那を戦争で亡くして、4人の子供を女手一つで育てなきゃ
いけないのに、あんな役に立たないガキ養う余裕があるワケ無いじゃん。何で久子が
鬼扱いされなきゃならんのだ。


アニメ版では、清太と節子が遊んでる時や、部屋で清太が本を読んでる時に久子がイヤミを
言う、という場面が確かあったと思うんですが、ドラマではそのシーンは無かったみたいですね*1
あのシーンがあったなら、もっと清太の身勝手さが際立ったと思うんですが。
「軍人の息子」という、何の役にも立たないちっぽけなプライドを守るために、結局は
妹と自身の命を失うという結果を招いた清太は自業自得だと思うが、清太と節子が死んで
しまったことに対して、久子に「お母さんは鬼よ! お母さんのせいであの2人が
死んだのよ!」
と言い放った久子の長女も青臭くて腹立ったなぁ。だったらお前が
あの2人を食わすことができたのかよ?と。何だか久子が可哀相で仕方が無かった、と
思ってしまうのは、自分が年を取ったからなのかな。


以下は純粋にドラマの感想。節子の役演った子、上手かったですねー。
自分は最初、アニメで節子の声を演った声優さんが、吹き替えをしたのかと思ってたのですが
そうじゃないんですねぇ。びっくりです。恐るべし佐々木麻緒。
清太役の子は、ポイガ吉田に似てると思ったのだが、どうでしょう?


このドラマに限らず、戦争を扱ったドラマや映画を見る度「戦争なんて絶対に2度としちゃ
いかん!」
と思います。憲法を改正して日本を「戦争のできる国」にしようとしてる
所謂タカ派の連中は頼むから早死にしてほしいですね。そりゃあ法を改正しようとしてる
連中は、自分自身が戦争に行くワケじゃないから、いくらでも威勢のいいこと言えるでしょうよ。
そんな見せかけの威勢の良さにダマされて、切羽詰まった状態じゃないのをいいことに
「俺はこの国を守る為なら戦う!」などと息巻いてる、命を捨てることをカッコイイと
思っちゃってる(清太みたいな)自惚れたガキどもはどうぞ好きにして、としか言えないよ。
もし近い将来日本で戦争が始まったなら、自分はどんな方法を使ってでも日本を脱出するな。
戦争をしない国だから魅力があんだよ日本は。もしその魅力が失われたなら、日本にしがみつく
理由が無いもん。

*1:録画してないのであやふやですが